8. 歯石は歯ブラシでは取れません
9. 歯周病の予防について
10. 早期発見、早期治療に努めましょう
歯の、歯肉(歯ぐき)から出た部分を歯冠、歯肉に覆われた部分を歯根とよびます。
エナメル質 象牙質 歯髄(神経・血管) セメント質 |
歯肉:歯の根の部分を支えている骨(歯槽骨)覆っている肉。健康な歯肉はピンク色。 歯槽骨:歯を支えている顎の骨。 歯根膜:歯根と顎の骨との間にある弾力のある繊維の集まりで、硬いものをかんでも強いショックが顎に伝わらないようにクッションの役目をしている。 |
口の中を不潔にしておくと、歯の表面にネバネバしたものが付着します。これは細菌などのかたまりで、プラーク(歯垢)と呼ばれます。
プラークの中の細菌は、歯と歯肉のすきまに入り込みそこに歯周ポケットを作ります。
歯周ポケットの中の細菌は、食べかすなどによって繁殖し、歯肉に炎症を起こします。
これが歯肉炎と呼ばれる病気です。
歯肉炎を放っておくと、歯周ポケットはますます深くなり、細菌から生ずる毒素や酵素が歯槽骨を溶かすようになります。これが歯周炎です。
歯肉炎や歯周炎のように、歯の周りの組織が細菌によって破壊される病気を、総称して歯周病といいます。
歯の表面や歯周ポケットからプラークを取り除き、口の中に住みついている細菌を少なくすれば、歯肉の炎症は消え口臭もなくなります。
舌の上につく白い苔のような汚れを、舌苔といいます。
舌苔の成分は、歯周病の原因となるプラーク(歯垢)とほとんど同じです。沢山ついていると口臭の原因となりますから、たまには舌の上も掃除をしましょう。
むし歯があるからといって口臭が強くなることはほとんどありません。しかし、むし歯の数が多いということは、口の中が不潔で歯周病にもなりやすい環境であることを意味します。
また、入れ歯はレジンという樹脂で作られており、顕微鏡で見ると表面はざらざらで穴が沢山あいています。そのため汚れがつきやすく、まめにお掃除をしないとかなり強い臭いが出るようになります。
口臭の大部分は、上記のように口腔内の細菌が原因となっておこりますが、たとえば、鼻、肺などに炎症があったり、重篤な肝臓疾患、尿毒症、糖尿病などの病気にかかっていたりすると、呼気として異様な臭いがします。
また最近では、精神的な問題が原因で、他人からは口臭と感じられないのに、自分には口臭があると思いこんでいる方も増えているようです。
いずれにしろ、歯科医師で解決されない口臭は歯科以外のお医者さんで検査を受けることをお勧めします。
歯や歯肉の病気は、口の中だけでなく全身と深く関わりを持っています。
歯周ポケットで繁殖した細菌が出す毒素が、心臓、肝臓、肺などの離れた場所で病気を引き起こすこともあります。
たかが口の病気と軽くあなどっていませんか?
歯の表面についているネバネバしたものをプラーク(歯垢)と呼びます。
プラークは細菌のかたまりです。歯肉が赤く腫れるのは、プラークの中の細菌が出すいろいろな物質により炎症が起きるためです。
炎症が起きると、血管が拡張し歯肉が腫れて出血しやすくなります。
口の中は、プラークが発育するのにはとても適した環境にあります。体温により適当な温度が保たれ、食べカスからは栄養が与えられ、そしてだ液からは水分(湿度)と、細菌が繁殖するには完璧な条件が揃っています。
特に寝ている間は、だ液の分泌が減って口の中の汚れが停滞するため、細菌がより繁殖しやすくなります。
朝起きた時、口の中がネバネバしたり口臭が気になったりすることがあるのはそのためです。
寝る前に、口の中の細菌を少しでも減らしておくようにしましょう。
歯の表面についているプラークは、いわゆる食べカスと違ってうがいをしただけで簡単に落ちるものではありません。
下の写真のように一見きれいな歯も、薬品を使って染め出してみると、びっしりとプラークがついていることがわかります。
プラークは、はじめのうちはネバネバしていますが、歯に付着させたまま放っておくと石のように固くなります。
これを歯石といいます。歯石の表面はゴツゴツしていて細菌が住みやすいため、歯石があると歯にプラークがつきやすくなります。
歯石は、歯ブラシでいくらゴシゴシこすっても取れません。必ず歯科医院で専門家(歯科医師、歯科衛生士)に取ってもらいましょう。
歯は年をとればなくなるもの、と思っている人はいませんか?上記にも書いたように、歯周病の原因は歯面に付着しているプラークであることがわかっています。原因がはっきりしていますから、予防も可能です。
日本歯科医師会が唱えている「8020運動」をご存知でしょうか。80歳で20本の健全な歯を持とうという働きかけです。平成11年現在、80歳の平均値は8.2本ですから、20本という目標値はずいぶん高いと感じられるかもしれません。しかし、歯周病をきちんと予防すれば、この目標も充分実現可能です。
予防の基本は、プラークを徹底的に取り除くことです。これが最近テレビのCMでも取り上げられているプラークコントロールです。
しかし、プラークだけを除去しても、歯肉へのマッサージが全くされていないと歯肉の炎症が消えないことがあります。歯肉を健康な状態に保つためには、プラークの除去と歯肉へのマッサージが必要なのです。
自分でできる予防としては、第一が、歯面に付着した汚れを機械的に取り除くブラッシング、プラークコントロールです。
ブラッシングの上手、下手がその人の歯の一生を左右するといってもいいでしょう。
次に、歯面に付着した汚れを取り除くのではなく、歯面に付着しないように工夫する食生活ということになります。
しかし、この二つのことを考えながら生活していても、プラークを完璧にコントロールすることはできません。
そこで、専門家による定期検診やクリーニングが必要となります。